献血ものがたり 第1話
最寄りの駅で「献血にご協力ください~」という声を耳にした。
看板には献血ピンチと書かれている。
こうなると見逃すわけにはいかないと思ってしまうのが私の性。
迷った末、行くことにした。
献血に行こう!と思ったのは初めてのことではない。一度だけ勇気を出してテントをくぐったことがある。その日は午後から運動する予定があり、泣く泣く断念した。だから、血を献上するのは今回が初めてである。
テントをくぐると、スタッフの人が感謝を述べたうえで申し訳なさそうに4~50分ほどお時間をいただいておりますと言った。
献血は手続きに時間を要する。血を抜くことが本人にとって危険だということ、その血が患者にとって命を繋ぐ手段であること、を考えると、あたりまえのことだ。
血圧、食事、睡眠時間、病気の有無、海外渡航歴…などに関する質問にすべて回答したうえでようやく列に並ぶことができる。
だからこそ、並んでいるときにふとこの方たちはどうして献血をしようと思ったのだろう、と疑問に思った。だって、時間はかかるし、血を抜かれるのなんて怖いし、針を刺されるのは痛いし、その血が誰のもとへ行くのか、本当に役割を果たしているのかもわからない。
私は単純に後悔するのが嫌で入った。その場をあとにしても後ろ髪を引かれる思いがしそうだったからだ。でも、周りを見ると元気ハツラツとした人が多い。そして、男女問わずいろんな人がいた。親子で来ている人もいた。
そんなことを考えているとあっという間に自分の番がやってきた。初めてだったので緊張した。バスの入り口付近で最終検査のようなものを受ける。そこで指に針を刺して検査用の血を抜くのだが、そんなことも知らなかったので、ちょっとビビった。紙で切ったみたいなちっさい傷口から血が出ている。傷口自体はピリッと痛む程度だったのだが(紙で切ったときのほうが圧倒的に痛い)、指をつまんで血を出すというその光景がちょっと痛かった。
そして、検査を終えた看護師さんから、「ヘモグロビン値が低いので、今日は献血できないです」と言われた。
予期せぬ言葉に一瞬固まった。さあ、怖いけれど血を抜かれるぞ!と意気込んださなかだったからだ。データ上で言う、貧血ですね、とまで言われてしまった。(貧血か…。そういえば、午前中運動したな…。)
その後、医者から良く寝て、栄養のあるものを食べましょう!と保健の授業で口酸っぱく言われるような言葉をいただいた。(ありがとうございます。意識します…。)
バスを出るとき、看護師さんたちに「ありがとうございます!」と言われた。協力できなかったことが超申し訳なかった。
ひょっとしたら行かないで後悔した方がよかったのでは、とも思ったのだが、前回は血を抜くところまでも到達できなかったので、すごろくでいうコマが1マス進んだと捉えてもいいだろう。
次こそは、健康状態をカンペキにしたうえでこのコマをゴールまで持って行きたい。
血を差し出すことに成功した際にはまたブログを書こう!
だから、これは献血ものがたり第1話である。
というか献血してる人の健康状態ってすごいんだな…。